狭い門 Narrow Gate 2008 5 6

 アメリカの金融業と日本の製造業。
一方は、証券化という手法で世界経済を席巻し、
その効率性、スピード、利益率において、
そして、規模において、
その姿は、現代に蘇った恐竜(金融資本主義)のようであった。
 しかし、永遠に続くと思われていた恐竜の時代は、意外にも早く終わった。
サブプライムローンの最盛期には、NINJAローンまで登場した。
それは、「No Income No Job & Asset」で、NINJAという。
つまり、無収入、無職、無一文でも、住宅ローンが組めた。
こうした住宅ローンと証券化の「急拡大」は、恐竜の体が巨大化したのと似ている。
 一方の日本の製造業。
地道に生産技術の向上を続ける、その姿は、
証券化という手法に比べれば、亀のようにも見えた。
 聖書には、こうあります。
「狭い門から入りなさい。
滅びに通じる門は広く、その道も広々として、
そこから入る者が多い。
 しかし、命に通じる門は、なんと狭く、その道も細いことか。
それを見いだす者は少ない。」

 かつて日本では、総合商社ですら、「虚業」と言われたのです。
彼らは、書類を右から左に流すだけで「利鞘(りざや)」を稼いでいるだけだと。
それは、工業国家日本の誇りが、そう言わせたのでしょう。
 サブプライム金融危機が、やがて導火線となって、
「世界恐慌」が起きると主張する記事(本や雑誌)を見かけるようになりました。
それを見て、多くの日本人は、不安を感じるでしょう。
 仮に、そういう事態が起きても、日本は生き残るでしょう。
世界恐慌といっても、虚業の部分(金融資本主義)が吹き飛ぶだけであり、
実業の部分は残るのです。
世界最高レベルの、日本の製造業は残るのです。
 いや、むしろ、日本の時代になるかもしれません。
実業の部分に「巨大な虚業」が覆いかぶさり、
日本の製造業を見えなくしているだけかもしれません。
 あなたは、超一流の美容師で、たくさん、お金を稼いだ。
その資金で、株式投資、いや今の時代ならば、FX投資を始めた。
ところが、投資に失敗して、全財産を失ってしまった。
あなたは、絶望し、死にたいと思うかもしれない。
 しかし、あなたには、美容師としての超一流の技術がある。
そして、あなたには、まだ明日があり、また、お金が稼げる。
決して、あなたの時代は、終わっていない。
まだ、あなたの時代は、続いている。
 何メートルも積もってしまった雪。 
冬山では、春が近づけば、雪崩が起きる。
その轟音で、多くの人が恐怖感を感じるが、
それを恐れてはいけない。
春を知らせているだけである。
やがて、少しずつ大地が見えてくる。
そして、可憐な高山植物が花咲く。
やがて、日本の製造業が見直される時が来るでしょう。

















































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